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最終更新日:02/20/2004  
実売約5万円で入手する廉価な望遠鏡のベストチョイスは
DS2000 vs 70AT
低価格帯の定番70ATに対抗するDS2000シリーズの実力は?

 Meadeの入門者向けモデル「DS」がリニューアルされたのは、米国で2002年3月のことです。早くも2年が経っていたのですが、いよいよ国内でも出荷が始まりました。発表当初からマウントがダイキャスト構造になったなど、従来モデル(DS-60EC/115EC)と比べ硬性アップが噂されていました。

  ここでは、ETX-70ATの観点の基、DS2114ATSを紹介します。
   

 DS2000シリーズのラインアップと主な仕様は次の通り。ただし、DS-2130ATSは、ミックインターナショナルの国内ラインアップに含まれません。

Spec Data DS-2070AT DS-2114ATS DS-2130ATS
口径 70mm 114mm 127mm
光学種別 屈折式マルチコート 反射式アルミコート 反射式アルミコート
焦点距離 700mm、f/10 1000mm、f/8.8 1000mm、f/7.9
バッテリ 単3乾電池8本
(DC12V)
単3乾電池8本
(DC12V)
単3乾電池8本
(DC12V)
ファインダー 5倍×24mm 6倍×30mm
6倍×30mm
付属アイピース MA9mm(78倍)
MA25mm(28倍)
MA9mm(111倍)
MA25mm(40倍)
MA9mm(111倍)
MA25mm(40倍)
連続稼働時間 20時間(カタログ値) 20時間(カタログ値) 20時間(カタログ値)
オートスター #494オートスター同梱 #494オートスター同梱 #494オートスター同梱
重量 約7.0kg 約8.0kg 約9.0kg
実売参考価格 49,800円 59,800円 500ドル(米国現地値)


  光学系も大事だけれど "まずは足回り" が当たったモデル

 ETX-70ATのコストパフォーマンスは、こちらで触れたようにかなりのもの。しかし、「コストの面で」ETX共通の課題、三脚が標準同梱ではない点が、見かけ上の安さを引き上げる要因だったといえます。49,800円(70AT)という価格で本体購入し、三脚をかなり妥協してカメラ三脚+専用アダプタと組み合わせてもプラス5,000円以上となるのが必至です。三脚など必要ない、と言い切れればいいのですが、野外で好きな場所に置きたい場合には揃えたい筆頭なアクセサリです。

 そして、DS2000シリーズいちばんのポイントは、「三脚が同梱されている」ことと、その「三脚強度」、さらに「マウントのダイキャスト構造」が相まって、従来には無かった硬性実現へと結びついている点です。

組み立て終えたところ
70ATの箱と比べたところ。やはり三脚が含まれているため巨大。約8kg程度
最初に開けた状態がこのような感じ。意外と謙虚に鏡筒が収まっている。三脚や#494オートスター以外にも、アイピース(マルチコートのMA25mmと9mm)、ファインダーなどが同梱
何といっても三脚の強度が気になるところ。従来モデルは、お世辞にも標準点に達しているというレベルではなかったので。そして、その期待を裏切らない構造だったのがDS2000。左を拡大写真にすると分かりますが、アルミ三脚で付け根のところはかなり出来がいい。そして鏡筒本体を付けた状態で上部をねじってみると、三脚は若干しなりました。まぁ許容レベルかな…
ユニークなのは、この構造。これだけを一見すると分からないけれど、3つ下の写真を見れば、なるほどと頷けます

マウントがダイキャスト、三脚も硬性確保


三脚の下側。長さのスライドは、いちばん下(写真では手前側)に折り曲げ式のストッパーがあります。これを倒して固定解除、そしてスライド。硬性はなかなかです
マウントを乗せる個所を横から見たところ。この付け根構造がどのようになっているかが分かると思います。三脚の足自体は台形状になっているので、これも強度に関わっているはず
マウント部の下側を見たところ。台に置いて見たり、三脚に取り付けて野外へと2通りに使えるし、マウント部を囲う構造になっているので安心感もある。と思ったけれど、三脚レスで台において見るにはバランスが悪くできませんでした
マウント部は、ダイキャスト構造。NexStarと似ています。ただし、下側上部は硬化プラスチック。しかし5つ下の写真を見れば分かるように下部内にはダイキャストが入り込んでいる。このため、実質すべてがダイキャストで構成されているようなもの
鏡筒を支えるバンドは、最初にドライバーで取り付ける必要があり。この状態で重量を見ると4.5kgでした

 と、かなりベタ褒め状態ですが、すべては従来比、そして70ATとの比較である点を忘れないでください。デジタルテレスコープとして、そして光学系を支える基盤として足回りは想像以上に影響します。例え優れた光学系でも足回りがプアでは満足に覗いていられません。そのため、入門機でも十分に固めたのはMeadeの観点がバッチリではないかと思います。

 光学系は…、端的に書けばETXのようなシャープさは無く、比べなければ…、という感じです。

  マウント部から底面へとつながるダイキャスト構造

 この価格でこの硬性は、おそらく十分に満足できるでしょう…。そんな風に言い切れるほどDS2000は従来モデルが持っていた不安を一掃しています。光学系な見え方はというと…、まだじっくりと覗いてないので、後日ギャラリーページの掲載で。

鏡筒バンドはこのような感じ。さくっと取り外しができるようになっています
ただし、鏡筒にチープさが漂うのは仕方がないところ。鏡筒のみで重量を計ったところ2kg。筒自体はスチール構造で、接眼部周りも左写真で質感が分かるはずです。そして、ノブはかなり軽いタッチなので、三脚とマウント強度からすれば、従来モデルのように視界が激しく揺らぐことがないはずです
電池は単3乾電池が8本。ETXのように三脚から取り外さずに交換ができます
マウント底面もダイキャスト構造。鏡筒支え部からつながっています
#494オートスターのファームウエアは、DS2000発売を機にバージョンアップされた模様。バージョン「1.2Jc」と確認ができます。そして、動作音はETX-70ATとそっくりな比較的甲高い音、こちらのムービーが参考になります

  2インチアイピースも使えるクラス初の拡張性

 ウリのひとつ。2インチアイピースが使える点はこのクラス初です。同梱されているアダプタを交換することで対応します(注:ただし、アイピースによって取り付けができないとの情報もあります。ここではMeade MH50の装着例です)。

発表当初から意外だと思えていたのが、このクラスで2インチアイピースをサポートしている点
同梱されているアダプタを切り替えることで31.7mm、2インチと切り替えが可能。ただしアダプタがプラスチックで取り付け時に削りクズが出がちなのは、注意点かもしれないです
ドローチューブ内を覗いたところ。2インチサポートにしては径が小さいのが気になるところ
#494オートスターのマニュアルまでも一新されていました
版を重ねるごとに洗練されてきたマニュアル。今では分かりづらいぃ〜などと、買って早々にWebで情報を探しまくる必要がなくなったようで

 おそらく…、70ATよりもコストパフォーマンスで優れていると言い切れてしまうほどの魅力を持つDS2000。

 余談ですが、ミードブルー鏡筒ではない点が残念です。

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- JTB : 国内の天文界では、「日本望遠鏡・双眼鏡ショウ」のこと。Japan Telescope and Binocularsの略。
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