動作モードの違いが,どのように観望スタイルに関わるのかを考えてみました。 ETX-ECには経緯台モードと赤道儀モードが用意されています。 ここでは,モード別の使いこなしについて紹介したいと思います。
経緯台モードは,RA(赤経)モーターとDEC(赤緯)モーターを同時に動かすことで,天球上の星の動きを追いかけます。夜空では,星の動きが大きな円を描くように動くので,経緯台モードでは2つのモーターを駆使しなければ追いかけることができないのです。 赤道儀モードは,あらかじめ天の北極(極軸,北極星の向き)にRAモーターが回転するための中点を合わせておくと,DECモーターを動かす必要がなくなります。RAモーターの動きだけで星を追尾することができます。 一般的には,モーターをコンピュータ制御することができるようになって,始めて経緯台でも星を追尾できるようになりました。自動導入望遠鏡が登場するまでは,経緯台で星を自動追尾するなど考えられていないことだったのです。 使い勝手の点で考えれば,赤道儀モードは,まず地域によって天の北極(極軸)に合わせる必要があるので,経緯台モードの初期設定よりも面倒です。 ETX-ECは自動導入望遠鏡なのに,なぜ?赤道儀モードにする必要があるのか?
図1■動作モードの違いは視野内の動きにも現れます
上の図1は,それぞれの動作モードで東の空を覗いてみた場合に,星を追尾するためにモーターがどのように動くかをイメージしたものです。
ここまで読んでいただければ,文句無しに赤道儀モードで使うべきだと思うかもしれません。 しかし,前述したように赤道儀モードは極軸に合わせる手間があって,北極星が見えないと動かすことができません。ベランダでお気軽観望をするといった場合には使えないのです。 経緯台の方が,すぐに基準星を導入することもできるため,写真撮影などで長時間追尾するといった目的でもない限りは,赤道儀モードにこだわる必要はないかもしれません。赤道儀モードでの追尾精度は、フォトギャラリーページからリンクしている撮影時のムービーを参考にしてください。倍率には寄りますが、ダイキャストモデルはかなり満足できる域にあると感じています。 事実,私の場合では…,
眼視だけのお気軽観望時には「経緯台モード」 という具合に切り替えています。 手軽さの経緯台モード,精度を追求する赤道儀モードというように,使い分ければよいのだと思います。 さらに付け加えるとすれば,用意する三脚も大きな問題です。 赤道儀モードで利用するためには,極軸に望遠鏡を傾ける必要があるため,ウェッジなどの機材が必要になります(私は,専用三脚を使っています)。 これも赤道儀モードで利用する際の壁となっているかもしれません。 しかしながら,デジカメでの高倍率な惑星撮影には,赤道儀モードが必須だと感じています。 |