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最終更新日:08/13/2003  
実売5万円で手に入る自動天体導入望遠鏡の実力はいかに
ETX-70AT〜ファーストインプレッション〜
ETX-90ECが登場してから2001年春で2年。最新のETXシリーズ「ETX-70AT」は,90ECで不満だった点が幾つも改善されていたのです

 ETX-70ATを触る機会をいただきました。今までETX-90ECを使ってきた感覚で比較しつつ,このモデルの特徴や持ち味を紹介してみようと思います。
 まずは,パッケージから…。

標準パッケージで「オートスター」や「日本語マニュアル」が同梱
  パッケージ概観の大きさはETX-90ECと同じ。アイピースは,マルチコーティングの25mm(14倍),9mm(39倍)が付属しています
 
パッケージ内には,「日本語マニュアル」が2冊,「オートスター」(#494),「プローセルアイピース」(9mm,25mm)が同梱されてます。マニュアルはとても分かりやすい。Meade.comのように,PDFでネット公開していただけたらいいのに…


見ての通り鏡筒バランスはかなり片寄りがち。デジカメを取り付けることが前提とか…
 箱から出していちばん最初に見て感じたのは「あれ?ファインダー無くていいの?」という疑問(これは,後日検証してみたい点)。

 電源を入れてみて触った時は,まず最初に稼動音が比較的静かになっていることに気づく。また,左写真のように70mmながらこのフォルムバランスもカッコイイな,と思ったり。
 機構の点では,赤緯モータのロックを緩めるとアイピースとは反対側が長いため,ガクン!とストッパーまで下がってしまうのですが,この鏡筒バランスでよいのだろうか…。
 以上のような点がパッと見,そして軽く触った際に感じたことです。

 肝心な天体(曇りがちだったので数十分の月しか観られず)を覗いてみて感じたのは,とても像が明るく見える点。
 屈折望遠鏡で短焦点ということもあり,日ごろカセグレンで目が慣れていた自分には,F5の明るさが新鮮でした。後日,惑星も観てみたいところです。でも,高倍率はキツイかな…。

マ ウ ン ト ア ー ム
マウントはETX-90ECと同じ大きさの物が使われています。
このため鏡筒に比べ,若干大きめであることが分かります。アイピースのスリーブ径サイズは,USサイズの31.7mm。24.5mmでなくてよかった
オートスターとのコネクタは,アーム部にあります。結果的には,駆動モーターがアーム内に共振する現象が抑えられたので,歓迎すべき変更かもしれないです。AUXコネクタが90ECに比べ1個削られているものの,用途が幅広くないので気にならないはず
口径70mm/焦点距離350mmの屈折レンズ バ ッ テ リ
口径70mmの屈折望遠鏡です。マルチコーティングなので,特に高品質というわけではないのですが,このクラスとしては,なかなかの観え味のはず。また,焦点距離は350mmとかなり短焦点です。デジカメのコリメート撮影では,楽々と月の全景を撮れそう 単3乾電池を6本使用します。残念なのは,乾電池ボックスが取り出しづらい点。
しかし,自分で取り出しやすいよう工夫すればよいだけなので,問題ではないでしょう。
気になるのは,なぜ90ECのようにバッテリ収納が底面で無くなったかの点。内部を開けてみないとハッキリとしませんが,前向きな改良であれば使い勝手の向上を狙ってかな?

 個人的に感じた気に入った点,残念な点をまとめてみると,次のようになります。
 後に挙げる「コストダウンで失われた点」では,2と3番は使い勝手の点で気にかかるけれど,1番はそれほどデメリットとはいえないかもしれません。

 その理由は,鏡筒を手で揺らしてみると強度が十分にあることが分かり,モーターの負荷も軽減されるのであれば好ましいはずだから。しかし,モーターの振動が視界の揺れに影響しないのかは,惑星を高倍率で観た時に注目したいところです。


好感触な点
1.

動作音が比較的静かになった。深夜に野外で使用している場合でも人からにらまれる心配が無い(笑)。しかし導入中の音はこれに当てはまるものの,追尾中の音は90ECよりも大きい場合もあった(:追尾中の駆動音は,90ECでもそれほどうるさくないのです)

2. 改良といえるかは意見が分かれるのですが…,ホームポジションに合わす際に赤緯側を反時計方向に回す必要が無くなった。本体側の電子回路がアームに内蔵されたことが理由のようです
3. 値段を考えると…,とてもバランスよくまとめられていると感じます。ETX-90ECと比べても「コストパフォーマンス」のよさは上のはず

コストダウンなどで失われた点

1. 鏡筒がプラスチックになってしまった。ETX-90/125EC鏡筒での,車のボンネットのような質感,そしてブルーに微妙なパープルが加わっているミードブルーが気に入っています。ETX-70ATはLX200の鏡筒色に近いようです。ん?こっちが本来のミードブルーか?
2. ピントノブを手で回す時にフォトポート側の面に指がぶつかってしまう。指1本分の空きがないためですが,70mmという口径による影響なので,やむを得ない点ではありますが…
3. 天頂付近ではピントノブが回しづらい。構造上しょうがないとはいえ,手がつってしまいそう

 概観と使い勝手の点で特徴となっているのは次の点。ほかにもプリップノブやピントノブがプラスチックになったことで,感触が軽くなっている点が気になります。
 しかし,ETX-90EC同様にピントノブに関しては,ScopeTronixの「Flexi-Focus Knob」を取り付けてみたら(流用できた)解消できました。

 今後の課題としては(2003年8月)、星雲星団の見栄えにこだわって、ToUcamでもM57やM42などにチャレンジしてみることです。

 Weasnerさんのページでは、70ATの内部構造が写真掲載されています「Inside ETX-70AT」。

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天文用語辞典
- エアリーディスク(Airy disk) : 比較的明るい恒星を望遠鏡で見た場合、その恒星の周りに、円盤状で回折によるボケ(回折像)が見える。この部分のこと。
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